クリスマスあたりからインタビューだらけ。久慈暁子、宇佐美貴史、柴崎岳、遠藤保仁、佐藤寿人、槙野智章、宇賀神友弥、関根貴大、小島秀仁、阪野豊史、太田吉彰、中村憲剛、佐藤勇人、北澤豪、柳沢敦。うーん、ツラい(まだ終わってない)。

インタビュアーとして最近よく聞くのは、「動き直し」の話。

パスの出し手と受け手の関係において、2人の呼吸が合って「今だ!」という瞬間は試合中に何度もある。でも、出し手にとっては、例えばトラップのちょっとしたミスとか、相手DFの気の利いたポジショニング修正とか、あるいは予想外の突風などによって、出せるはずのタイミングでパスを出せないということもよくある。で、仕方なくキックフェイントして切り返したり、もう1タッチしてボールを転がしたり、一度近くのヤツに当てて体勢を作り直そうとしたりする。それが、出し手の視点。

このシーンでありがちなのが、受け手である選手がそうした状況の変化に気づかないこと。呼吸と目が合った最初のタイミングのまま相手DFの裏に走っちゃって、「なんでパスを出さないんだ!」と怒ったりする。でも、そうじゃない。

出し手の状況が変わったのだから、受け手は次のタイミングに合わせて「動き直し」をしなきゃいけない。それができないと、最初のタイミングでパスを受けようとしたまま相手DFの裏に走ったFWは、いわゆる「死に体」になる。パスコースが一つ消えるどころか、わずかな時間でも10人対11人になる。

例えば、裏を狙うのが好きなFWや、前方のスペースに飛び出すのが好きなサイドバック。パスの出し手が顔を上げて見る。目が合う。蹴ろうかな。やっぱ蹴らない。じゃなくて蹴れない。その時、FWなら裏に走ることをやめてクサビの動きに切り替えるのか、サイドバックなら踏み込んだ足を止めて元のポジションに戻る。それが絶対に必要なんだけど、これが意外と、プロの世界でもできない選手が多い、という話。

自分が母校の高校サッカー部でコーチをしていた頃、後輩たちによくこの話をした。「切り替え」には攻撃から守備、守備から攻撃への切り替えだけじゃなく、パスコースを作り直す「動き直し」もある。状況が少しでも変わったら次、また変わったら次、さらに変わったらまた次、という具合に、数歩だけ、体の向きだけ、声だけ、受け手としてのオーラだけでもパッパと切り替えることで「次」のパスコースが生まれる。そうじゃないと、おまえ、グラウンドの中で死んでるよーと。

選手とこの話をすると、いろんな視点からの意見があって、話がどんどん広がって面白い。遠藤保仁と中村憲剛と佐藤勇人は出し手の視点でさすが。佐藤寿人と柳沢敦は受け手の視点でこれまたさすが。やっぱそうだよなーとか、そういう見方もあるのねーとか、面白くてインタビューの本題からどんどん逸れていくんだよね~困ったもんだ……とまあ、つまるところそういう話。お後がよろしくないどころか、オチもヘッタクレもないようで、あしからず。